沖縄で7月運用開始の再エネ発電所 出資のイーレックス・本名均社長に展望を聞く


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イーレックスの本名均社長

 県内最大の木質バイオマス発電所の「中城バイオマス発電所」(うるま市)が7月に商業運転を開始する。沖縄ガスなど10社とともに発電所運営会社に出資している、国内新電力大手イーレックス(東京)の本名均社長に、沖縄での今後の展開などを聞いた。

Q:県内での販売の現状は。

 「早くから営業体制をつくるために2016年に沖縄ガスニューパワーを設立した。現在の売上高は約30億円。本格的な販売は、中城バイオマス発電所が完成する7月以降、展開していく。完成後は、売上高が100億円程度になる見込みだ」

Q:7月以降の販売体制は。

 「販売体制も本格的に自由化を実行していく。沖縄の有力な企業数社の賛同を得て、代理店方式で進めていく。沖縄で有数の企業3社の参加が決まっている。沖縄全体に販売を拡大していきたい」

Q:沖縄の電力自由化の現状をどう考えるか。

 「全国的には新電力のシェアは20%くらいあるが、沖縄は8%台と半分以下の水準にとどまっている。供給力が少ないことが大きい。自由化には、上流から下流まで、発電から販売までを一貫してやれるような体制が望ましい。本土のような卸電力市場がない中で、供給力を保持することが第一に重要になる。今後も新しい電源を増やすことも含め、沖縄で自由化を進めていきたい」

Q:中城バイオマス発電所の次の発電所を作るのか。

 「ぜひ検討したい。民間企業の皆さんとは話をしている。規模は大きければ大きいほどいい。供給力を増やすことで、自由化の競争原理に基づいた安い電力を提供できる」

Q:脱炭素の動きが加速している。

 「今後、自由化とともに重要なのは、脱炭素の電力を供給することだ。沖縄では台風が来るので、風力発電は難しい。太陽光か、バイオマスを使った展開になると思う。自然環境に恵まれた島で、脱炭素をどう実現していくかがエネルギー事業者としての使命だ。沖縄電力とも、脱炭素について協力できることはないかと話し合っている。自由化は互いに切磋琢磨(せっさたくま)して競争し、一方で脱炭素については協力できることはしていく。良い意味での競争と協力を通じてエネルギーコストを下げ、二酸化炭素を減らしていくことが使命だと思っている」

Q:バイオマス発電の燃料については。

 「新しい燃料として燃料用ソルガム(イネ科の作物)を開発中だ。5月2日に宮古島市で燃焼実験をして、結果は良好だった。今後もより品質が良く、コストの安い燃料を追求していく」

Q:沖縄は離島が多い。新電力の拡大によって、本島と離島で選択できるサービスに差が生じるのではないか。

 「離島の皆さんにどうやって安定的なエネルギーを供給するかは課題だ。沖縄電力とも話し合いをすることが重要だと思う」
 (聞き手 沖田有吾)