4月輸出 38%増最高 全国 自動車、半導体装置伸び


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 財務省が20日発表した貿易統計(速報、通関ベース)によると、4月の輸出は前年同月比38・0%増の7兆1811億円だった。輸出額は4月単月として過去最高で、伸び率はリーマン・ショック後の2010年4月の40・4%以来、11年ぶりの水準となった。新型コロナウイルス感染拡大で前年同月に大幅に落ち込んだ反動があったほか、米国や中国向けの自動車、半導体製造装置が大きく伸びた。

 コロナ前水準上回る

 2年前の19年4月との比較では7・8%増となり、コロナ前の水準を上回った。日本はワクチン接種の遅れや緊急事態宣言の再発令で飲食などの個人消費が低迷しており、景気回復は当面は米中頼みの状態が続きそうだ。世界的な半導体不足を背景に、自動車メーカー各社は減産を迫られており、今後の本格的な回復に水を差す可能性もある。

 米国向けの輸出は45・1%増の1兆2761億円と大幅に増加した。自動車が約2・2倍と好調で、農林中金総合研究所の南武志主席研究員は「米政権による大型経済対策の効果や、ワクチン接種の普及で輸出環境は良好だ」と指摘した。

 コロナの落ち込みからいち早く回復した中国向けは33・9%増の1兆5834億円で、10カ月連続の増加となった。デジタル化の進展で世界的に半導体の需要が急増しており、半導体製造装置が約2・3倍に拡大。自動車も80・1%増と大きく伸びた。