沖縄県は22日、時短営業の要請に応じなかった14店舗に対して要請に応じるよう命令し、店名を公表した。23日から緊急事態宣言の期間が始まり、根拠となる法律の条文が変わる前日、事前文書を発送した118店のうちの一部に対して、駆け込みで命令した形だ。過料の手続きは「時間切れ」(大城玲子保健医療部長)で終わった。県は前例のない不利益処分に慎重に対応したが、感染拡大防止に最も必要とされているスピード感が伴っていなかったことは否めない。
4月12日に、まん延防止等重点措置が適用された直後から、県内約1万2000店舗を直接確認した上で、複数の手順を踏む必要があった。刻々と変化する感染状況の中、県内部には当初5月5日だった同措置の期間内に手続きを終えられるのか、不安視する声があった。
大城部長は命令を出した22日、報道陣に「不利益処分の弁明期間は2、3週間とるのが普通だが、今回は1~2日しかとれない。行政としても迷いがあった」と率直に明かした。措置期間が延長されたことで文書を出し直すなど、前例のない手続きにも苦戦した。命令の際、法律家からの助言を得て、踏み切ったという。
時短営業の要請に応じず深夜まで営業する店に客が集まっている状況に対して、要請に応じている98%以上の店からの反発が日増しに強まっていたことが背景にある。一方、一日限りの効力となった今回の命令までの過程を踏まえると、今回の行政措置の実効性には疑問が残る。
緊急事態宣言の下では、要請に応じない店舗への命令には、再度手続きをやり直す必要がある。そもそも日々激しく変化する感染状況に対して、命令に至るまでの制度設計は適切と言えるのか。慎重さと同時に、実効性を担保する取り組みが求められる。
(沖田有吾)