「苦しみ、誰に言えば」 閑散とする国際通り…土産物店の悲鳴


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臨時休業の店舗が目立ち、人出もまばらな那覇市の国際通り=23日、午後5時ごろ

 緊急事態宣言で外出自粛や休業要請が始まった23日、沖縄県内各地の商業施設は、いつもの日曜日よりも人出が減った。自粛疲れを語る人もいれば、事業者などは客足が遠のき、厳しい経営にため息をつく姿も。酒類を提供する店は休業となり、夜の繁華街からは人の姿が消えた。

 23日午後、土産品店が並ぶ那覇市の目抜き通り「国際通り」は人出がまばらだった。シャッターを下ろす店舗も目立つ。

 国際通りに面した土産品店の60代男性は、人出がまばらとなった通りを見渡し「ごらんの通り、厳しい」と嘆く。店舗の家賃は月200万円ほどだが、この日の売り上げは7万円程度。コロナ禍以前と比べ10分の1以下に落ち込んでいるという。「売り上げの半分は仕入れ代。全然やっていけない。いつまで続けられるだろうか。時間の問題だ」と、半ば諦めたように語った。

 飲食店や大型集客施設は時短や休業に対する協力金が出るが、土産品店に対する支援はほとんどないという。「閉めても何もないから開けるしかないけれど、開けても客が来ない。借金もあるから逃げ出すわけにもいかない。協力金が出る飲食店をうらやましく思ってしまう。土産品店の苦しみは、誰に言えばいいのだろう」

 別の土産品店で働く女性(65)は「今日のお客さんは5、6人。お客さんから『8月にまた来るので、頑張ってください』と励まされ、うれしかった」と語る。だが、誰もいない店内を見渡し「オーナーはきついだろうね」と声を落とした。

 市場本通りの青果店で働く女性は「緊急事態宣言が出ると分かったころから、お客さんがぐっと少なくなった」と明かした。「果物は日持ちしないから、売れ残りはどんどん安くするけれど、人が来なければ安くしても売れない。マンゴーもパイナップルも、廃棄処分するしかない」と寂しそうに語る。「政治家は一度でもいいから様子を見に来てほしい。何か感じるはずだよ」。口調は静かだが、怒りが込もっていた。

 午後8時半すぎ、これまで時短要請に応じていなかった那覇市内の飲食店も店を閉めていた。閉店作業をしていた他の店舗も明かりを次々と消し、国際通りは暗くなっていった。