沖縄都市モノレール(ゆいレール、美里義雅社長)は25日、2021年3月期決算を発表した。新型コロナウイルスの感染拡大によって乗客が激減し、純損益は前期の2億1631万円の黒字から、13億7987万円の赤字に転落し、16年3月期以来5年ぶりの赤字を計上した。経常損益は、前期5億7219万円の黒字から13億7566万円の赤字となった。多額の損失計上によって、純資産も前期の13億5185万円の資産超過から、2802万円の債務超過となった。
売上高に当たる営業収益は前期比45・3%減の23億2911万円だった。コロナ禍で観光客が激減し、一斉休校や在宅勤務の増加、イベントの中止などで県民の利用も落ち込んだ。1日平均乗客数は前期比46・1%減の3万44人となり、開業以来最低となった。
売上高のうち、運賃による旅客運輸収入は同45・9%減の21億8900万円で、利用者の減少に伴い広告やコインロッカーによる運輸雑収も同34・8%減の1億3900万円と落ち込んだ。
資金繰りの安定のため、県や那覇市、沖縄振興開発金融公庫による借り入れ元金の返済について、1年間猶予を受けた。役員報酬の返納や経費節減対策も実施し、今後も従業員の定期昇給の見送りや賞与の縮減を図るなど、財務状況の改善に取り組むとしている。
アフターコロナを見据えた輸送力増強のために、車両の3両化については計画を変更せず23年度内の運行開始を目指している。
22年3月期の1日平均乗客目標は3万8千人を見込んでいるが、新型コロナウイルスの影響が続き、4月は3万3953人と目標を下回るスタートとなった。
今期の決算予想について、担当者は「新型コロナの影響で見通しが立たない」としている。