「娘には『大丈夫よー』と言われた。どうすればいいのか」―。米国から突然届いた「コロナ禍生活支援金(EIP)」の小切手。受け取った本島中部の60代女性は頭を抱える。受給対象の米国市民や米在住外国人ではないため、誤送とみられる。「自由の女神」が描かれた小切手の金額は1400ドル(約15万円)。“神の恵み”と思われたが一転、悩みの種となった。
米国のコロナ支援給付金、沖縄にも誤送 駐在歴ある高齢者に 専門家「返送を」
専門家「換金せず返送を」
女性の手元に小切手が届いたのは5月上旬。説明も何もなく、封筒に「$1400」と書かれた小切手だけが入っていた。申請しなければ給付されない日本との対応の違いに、当初は「米国はすごいさ。外国人の年金受給者にも給付金を配るのか」と疑問は抱かなかった。
女性は日本国内の大手メーカーに勤務していた1970年代に2年間、現地駐在員として米国で働いた。年金受給年齢に達し、今では夫の分も含めて2人で米国の年金を年に20万円近く受け取っている。そのため、EIPも支給対象だと思ったという。
ただ、送られてきた小切手は夫婦2人分で総額約30万円。年間の年金額を大きく上回る金額だった。小切手の換金方法も分からず、不安になったため子どもたちに相談した。インターネットで調べると、小切手は一部メガバンクで換金できることが分かった。だが、同時に受給資格があるのは「米国市民」「米国居住外国人」だと判明した。
専門家は誤送の場合は換金すると、返還請求や年金が減額される可能性もあるとして、裏書欄に「VOID」(無効)と書いて返送すべきと注意喚起する。
女性は「今はすぐに必要ないので換金はしない。同僚にも相談してみる」と語った。
(仲村良太)