ローン減免知って 沖縄弁護士会 コロナ減収「相談を」


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 新型コロナウイルスの影響でローンの返済ができなくなった個人や個人事業主が、破産手続きなどをせずに借り入れた債務を減免する特例措置「コロナ版ローン減免制度」の沖縄県内での周知が遅れている。

 沖縄弁護士会によると、昨年12月の運用開始以降、制度を利用するための専門家への委嘱件数は16件(3日時点)。

 同会の畑知成会長は「利用者のメリットが大きい制度。コロナに関する無料相談を実施しているので、まずはアクセスしてほしい」と呼び掛けている。

 2011年の東日本大震災を機に、自然災害の影響でローンの返済が困難になった個人の生活再建を支援する「債務整理ガイドライン」が策定された。

 金融庁は昨年、ガイドラインを改正し、新型コロナの影響による減収が原因で債務返済が見込めなくなった個人らを対象に追加した。

 一定の要件を満たし、借り入れている金融機関の同意があれば、弁護士ら「登録支援専門家」の支援を受け、減免を求める調停を裁判所に申し立てられる。特例が適用されれば、一定の財産を手元に残せる。ブラックリストに登録されず、新たな借り入れに影響が及ばない利点もある。

 沖縄弁護士会災害対策特別委員会の小口幸人副委員長は、仙台市の元飲食店経営者の事例を紹介。債務約750万円のうち約730万円が免除されたとし「良い制度だが、沖縄ではあまり知られていないというのが正直なところ。多くの県民に知ってもらい、利用してほしい」と述べた。

 畑会長は、特例の要件に該当しない場合でもさまざまな制度があると強調。「借金は解決できない問題ではない。法律が力になれる部分は弁護士会がお手伝いしたい」と話した。

 同会による新型コロナに関する無料電話相談は8月末まで。相談予約は(電話)0570(783)110。