覚醒剤事件で一部無罪の判決 地裁名護支部「証言信用できず」


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 沖縄県名護市内の自宅で覚醒剤0・006グラムを所持したなどとして、覚醒剤取締法違反の罪に問われた男性被告(42)に対し、那覇地裁名護支部は5日までに、県警に情報提供した女性の証言が信用できないとして一部無罪の判決を言い渡した。1日付。

 判決などによると、2020年3月11日、当時内縁関係にあった女性が、自宅にあった被告の作業着から覚醒剤の入った小袋を見つけたとして警察に連絡した。小袋から一部を取り分け、女性の子どもに警察に届けさせた。県警は同19日に被告宅を家宅捜索し、注射器の袋などを押収したが、覚醒剤は見つからなかった。

 安川秀方裁判官は判決理由で、小袋の発見状況に関する女性の説明が、捜査段階と公判で変遷していると指摘。女性が被告の作業着から見つけて撮影したという小袋の写真について、「被告が所持していたと直ちに認められるものとは言いがたい」とした。女性の供述は信用できない上、検察が他に具体的な立証をしていないとして、「犯罪の証明がない」と判断した。

 被告は別の覚醒剤使用の罪でも起訴されており、使用罪について懲役3年(求刑懲役4年)の判決が言い渡された。

 弁護人の平田達彦弁護士は判決について「所持について無罪となり良かった。使用については主張が認められなかった部分があるので、被告人と協議し対応したい」とした。
 
 那覇地検の中村功一次席検事は「判決の内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。