読書のススメ モバイルプリンスの知っとくto得トーク[212]


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モバイルプリンス

 

小中学校でスマートフォンやネット利用について講演すると、「スマホをきちんと使うためには、何をしたらいいですか?」と質問されることがあります。

その時は「たくさん本を読んでください」と答えます。集中力を鍛え、言葉の勉強にもなるからです。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

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スマホでは「音楽を聴きながらSNSを見て、LINEが届いたら返事を書く」など、複数のことをほぼ同時に行うことができ、これを「マルチタスク」【※1】と呼びます。便利に見えますが、私たちの集中力を削ります。

ほとんどのスマホアプリは、使えば使うほど広告でもうかる仕組み。あの手この手で興味を持ってもらうよう動きます。スマホでいろいろなアプリを使っていると、どんどん時間が奪われていきます。

一方読書は、本の世界に集中できます。1日15分でいいので、一つのことに集中する時間を確保しましょう。

 

※1 マルチタスク … ベストセラーになった『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著)でも、マルチタスクが集中力に悪い影響を与えることを、1章まるごと使って説明しています。また、スマホアプリが私たちにちょっかいを加え、かまってもらうよう振る舞うことを「アテンション・エコノミー(関心経済)」と呼びます。

 

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Twitterなどと違い、本は数万文字が一つの物語になっているため、読書は文字を読み込む「スタミナ」がつき、作者が何を伝えたいか、どんな意図でこの言葉を使っているか考える作業になります。

スマホの利用トラブルで多いのが、LINE・SNSのやりとりで、言葉がうまく伝わらず徐々にすれ違い、最後はけんかになるパターンです。

感情が伝わりにくいテキストコミュニケーションは難しく【※2】、読書を重ねて文字から相手の主張を読み取る力がつけば、こうしたトラブルも避けられるはずです。

 

※2 テキストコミュニケーションは難しい … 例えばクラスメートが大会で賞をとった時「○○さん、すごくない?」と書けば、ほめていると分かりますが、「◯◯さん、すごくない」と、はてなを抜くと否定的な意味になってしまいます。直接対面してしゃべるコミュニケーションの場合は、表情・身ぶり手ぶり・声のトーンなどでニュアンスが伝わりますが、テキストコミュニケーションの場合は周囲の情報がなくなるため、伝えるハードルが一気に高まります。さらに「マルチタスク」で、動画を見ながらあまり集中せずに文章を書くと…さらに伝えるのが難しくなりますね。

 

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

http://smartphoneokoku.net/