保証承諾 最高2481億円 県内20年度 コロナ影響、3.8倍に


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 2020年度に県保証協会が実行した保証承諾金額が、前年度比3・8倍の2481億9904万円と過去最高を記録したことが分かった。新型コロナウイルス感染拡大によって中小企業を中心に資金繰りが苦しくなり、保証付融資を使う企業が急増した。年度末の保証債務の残高は、同2・3倍の2865億4360万円となり、貸し渋り対策の中小企業金融安定化特別保証が実行された1999年度を上回り、過去最高を更新した。

 信用保証制度は、中小企業が銀行などの金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会に保証料を支払うことで、同協会が公的な保証人となる制度。企業が融資を返済できなくなった場合には、協会が肩代わり(代位弁済)する。

 県は20年5月から、新型コロナによって深刻な打撃を受けた中小企業を対象に、実質無利子・無担保のいわゆる「ゼロゼロ融資」を実施した。この融資を受けるためには原則的に協会の保証付けが必要なため、保証申し込みが急増した。

 20年度の申込件数は前年度比3・8倍の1万7561件、金額は同4倍の3063億7341万円を記録した。コロナ関連制度の割合は、保証申込金額のうち87・7%、承諾金額の85・8%を占めた。

 承諾金額を業種別に見ると、建設業が同2・7倍の647億4525万円と最多だった。飲食業が同5倍の234億6968万円、製造業が同4・7倍の175億8943万円、観光事業を含むサービス業が同4・4倍の608億3686万円と、観光関連産業を中心に増加し、全業種で前年度比2倍以上となった。

 金融支援が功を奏した形で、20年度の倒産件数はコロナ禍にもかかわらず低く推移した。東京商工リサーチ沖縄支店の集計では、県内の倒産件数は40件と過去最少を記録した。代位弁済も、前年度比5・3%増の24億8320万円にとどまっている。

 一方で、同協会の担当者は「休業から実質的な廃業になってしまうなど、見えていない部分もあるかもしれない。コロナ収束後も、経済はすぐにV字回復しないので、当面は注視が必要となる」と話した。