泡盛とオリオンビール、酒税軽減からの「卒業」言及 5年~10年かけ段階的に


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自民党沖縄振興調査会であいさつする小渕優子会長=10日、東京

 【東京】本年度で期限切れを迎える沖縄復帰特別措置法に基づくビールと泡盛の酒税軽減措置について、オリオンビールの早瀬京鋳社長は10日、「5年で卒業を考えている」との見解を示した。県酒造組合の佐久本学会長らも「10年ほどで自立しなければいけない」と述べ、延長後10年かけて段階的に税率を引き下げて終了に向かっていく考え方に理解を求めた。両氏は、オンラインで参加した同日の自民党沖縄振興調査会(小渕優子会長)で発言。会合は冒頭を除き非公開で行われた。

 政府関係者によると、県内酒造メーカーのトップが、酒税軽減措置の終了を見据えた発言をするのは異例という。実質的に2022年度以降の酒税軽減の延長を求めた形だが、出席議員からは「出口を見据えた話が出てきたのには驚いた」と声が上がった。

 会合終了後に取材に応じた同調査会の橘一郎事務局長は、本土復帰に伴う激変緩和策として適用されてきた、酒税軽減措置の来年度以降の扱いが会合の「焦点」だったとし、両者から「自立をしていかないといけない、ということで提言があった」という。

 県内では、1972年の日本復帰前から所在する泡盛製造者に35%、ビールなどその他酒類製造者に20%の酒税の軽減が適用されている。復帰に伴って製品流通が増える国内大手メーカーとの競合で地場企業が淘汰(とうた)されるという懸念や、販売価格が上昇して県民の家計負担が増すといった理由から特例的に導入され、以降、5~2年ごとに延長が繰り返されてきた。

 オリオンビールの早瀬氏は、これまでの沖縄振興計画の下で、海外向け部門の成長や地域貢献などで成果を上げてきたとし、「5年で卒業ということを考えている」と述べた。

 泡盛の製造メーカーが加盟する県酒造組合は「10年くらいかけて『サンセット(日没)』という覚悟は持っている」と説明。新型コロナ感染拡大による経営環境の悪化も考慮し、夕日が徐々に沈んでいく様子に例えて、メーカーごとの経営状態や資産規模などに応じた段階的な措置を求めた。