沖縄との懸け橋に うるま出身・與古田さん 高校で異文化授業


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ハートのハンドサインをする生徒と與古田さん(手前右から2人目)

 韓国の首都ソウルから車で約90分のピョンテク市にあるピョンテク機械工業高等学校で、うるま市出身の與古田まり子さん(33)が、沖縄の歴史や文化を伝える異文化授業を行っている。與古田さんは教員を数年間、務めた。その後、嘉手納基地で勤務していた、米軍人の夫の異動で2017年から韓国に移り住んだ。2児の母でもある。

 同校では、大学に進学するよりもサムスンなど大企業に就職する生徒が多い。與古田さんは、日本語を学びたいと集まった生徒が所属する、日本文化体験クラブで1コマ50分、全6回講義を受け持っている。

 「韓国生活」「沖縄の歴史や文化」など、毎回講義のテーマを設定する。4月21日に行われた講義では、沖縄と韓国の交流の歴史や共通点について話した。

 與古田さんは「沖縄はチャンプルーの歴史や文化があり、多様で多文化な島だからこそ、世界に平和や『命どぅ宝』のメッセージを発信することができる」と説明した。日本と韓国の間には複雑な問題があることに触れながら、「一緒に平和を築くPeace Makersになりたいということだ」と生徒にメッセージを伝えた。

 生徒たちは「沖縄という島があることを知らなかった」「韓国と沖縄がこんなにも共通点があると思わなかった」と、驚いた様子だった。與古田さんは、日韓問題について「民間でこのように理解を促進する取り組みが人と人を結びつける」と強調する。「沖縄という窓から韓国との絆を強めることなど、異文化の懸け橋になることがチャンプルーで『命どぅ宝』な沖縄で生まれ育った、私のライフワークなのかもしれない。バックグラウンドが異なる社会や人たちが調和し、より平和な世界につながる」と話した。

(安里玉元三奈美通信員)