やんばるの動植物を墨一色で 国頭のアダ・ガーデンホテル内に菊田一朗さんの画廊開設


社会
この記事を書いた人 Avatar photo 田吹 遥子
やんばるの動植物を水墨画や「やまと絵」で描く菊田一朗さん =13日、国頭村安田のアダ・ガーデンホテル沖縄

 【国頭】和紙を使った手作りのびょうぶに、墨一色で描かれたやんばるの花鳥風月―。画家の菊田一朗さんはこのほど、国頭村安田のアダ・ガーデンホテル沖縄の一角に画廊を開いた。自然との調和やつながりを意識し、制作した「山原屏風」などの作品約30点を常設展示する。マングローブやサガリバナ、リュウキュウオオコノハズクなどのやんばるの動植物が生き生きと描かれている。

 菊田さんは福島県出身。小さい頃から絵を描くことや野鳥観察が好きで画家になった。水墨画や、天然顔料を用いた「やまと絵」をびょうぶに描く。約15年前に「やんばるアートプロジェクト」に参加した際、同ホテルに滞在した経験がある。安田の自然文化に魅了され、移住を決めた。

 やんばるは世界自然遺産の登録を控えている。菊田さんは「人と自然が調和し共存している珍しい場所だ。世界に認められる貴重な動植物が残っているのもそのためだ」と力説する。住民が草木を身にまとう安田の伝統祭事「シヌグ」を例に挙げた。「人も鳥も植物もみんなつながっている。万物は一つで境界はない。墨一色で描く水墨画もやんばるの自然文化も、自分の世界観に通じる部分がある」と語った。

 菊田さんは現在、画廊で新しい「やまと絵」の作品づくりにも取り組んでいる。問い合わせは(電話)090(6867)3160まで。事前予約制。