辺野古工事の伝馬船が沈没 本部沖、けが人なし 5月以降事故4件


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引き揚げられた沈没船=17日午前11時55分ごろ、本部町の本部港塩川地区

 【本部】16日午後7時45分ごろ、本部町塩川沖に停泊していた貨物船「神峰」の船長から、伝馬船が沈没したと118番通報があった。17日午前8時ごろ、名護海上保安署が本部港塩川地区沖の海底に伝馬船(5トン未満)が沈んでいることを確認し、午前11時10分ごろにクレーンを搭載した船で引き揚げた。

 同保安署によると、貨物船は名護市辺野古の新基地埋め立て用土砂などを運ぶ土砂運搬船という。沈没した伝馬船は、乗員を運ぶためにこの貨物船と岸の間をを往来していた。

 第11管区海上保安本部の調べによると、新基地建設に関連する船舶事故はことしに入って少なくとも4件あり、いずれも5月以降に起こっている。2020年の同様の船舶事故は2件。

 同保安署によると、伝馬船は高波と思われる海水の打ち込みで浸水した。16日午後7時30分ごろ、貨物船への引き上げ作業中にワイヤが切れて沈没したという。けが人はなかった。長さ10メートル、幅1メートルの帯状の油が海面で確認された。同保安署が事故の原因など調査を進めている。

 辺野古への土砂搬出作業が進められる本部港塩川地区で、監視活動を続ける本部町島ぐるみ会議の原田みき子さんは「沖縄にとって生命線でもある海を、油の流出などで汚すのは許せない。たびたび起こるこのような事故を許してはならない」と憤った。