沖縄を伝え 共に考える 「理解していなかった」 本土の若者、決意 埼玉の古井愛さん(25) 団体設立、写真展を開催


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沖縄の基地問題を考える機会にしたいと写真展を企画する古井愛さん(右)と写真展を手伝う幼なじみの笹沼つぼみさん=18日、埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」

 【埼玉】「本土に住む私は沖縄の日常を理解していなかった」。広大な米軍基地に米軍機からの爆音、新基地建設に声を上げる人たち―。沖縄に足を運び見えたものがあった。埼玉県のアルバイト古井愛(のぞみ)さん(25)は、NPO法人が実施した沖縄スタディーツアーへの参加をきっかけに友人2人と任意団体「JIWA―JIWA」を2019年に設立し、沖縄の基地問題を発信する活動をしている。19日からは埼玉県東松山市の「原爆の図丸木美術館」で19年の県民投票を振り返る写真展を開催。古井さんは「同世代で一緒に考え学んでいきたい」と話す。

 古井さんは立命館アジア大平洋大4年の2019年11月にアジア大平洋資料センターのスタディーツアーに参加、新基地建設が進む名護市辺野古や米軍基地、読谷村のチビチリガマなどを巡った。「知らないことばかりだった。理不尽な沖縄の現状が許されていいのかと思った」

 自分にできることは何か。考えて出した結論は沖縄の基地問題を伝え、本土の若者に自分ごととして考えてもらうことだった。大学の同級生である東京都の土岐若菜さん(25)と大阪府の多喜春華さん(24)を誘い、じわじわと若者が社会問題に目を向ける機会につなげたいと「JIWA―JIWA」を結成した。

 20年2~3月には5日間の沖縄スタディーツアーを企画し実施した。資金はクラウドファンディングで募った。会員制交流サイト(SNS)などを通じて10~20代の若者11人が参加した。米軍普天間飛行場が見渡せる宜野湾市の嘉数高台公園や戦跡、辺野古新基地建設に反対する抗議船にも乗った。新基地建設の賛否に揺れる住民の姿にも触れた。

 古井さんは「感情が追い付かなかった。みんな眠れず、朝まで議論していた」と振り返る。ツアー参加者からは「座り込みのおじいさん、おばあさんの姿や言葉が忘れられない」「無関心でいることが恐ろしい」「無知や無関心でいることで(沖縄の基地負担に)加担している」などの声が寄せられた。

 「2・24県民投票から2年 あの時の沖縄、あの時の『私たち』」と題した写真展は27日まで開催している。辺野古新基地建設に伴う埋め立ての賛否を問う県民投票を追った写真をはじめ、キャンプ・シュワブ前の抗議行動や県民大会など、写真家の普久原朝日さんが撮影した60点を展示する。27日の午前10時と午後2時から映画「ちむぐりさ 菜の花の沖縄日記」の特別上映もある。古井さんは「沖縄の若者の声を届けることで、基地問題に若い人が目を向ける機会につながってほしい」と話した。
 (問山栄恵)