8割市町村で男女性別欄 沖縄県内 職員採用試験書類に 那覇、浦添など廃止


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 県と県内41市町村のうち、81%に当たる34自治体が職員採用試験に当たって、受験申込書や履歴書に男女二択式の性別欄を残していることが19日までに分かった。性別欄がないのは7自治体で、那覇市や浦添市などは性の多様性を意識する観点から性別欄をなくしている。法的な性別と自認する性別が異なる人らにとって性別欄の記入を義務付けられること自体が負担になる恐れがある。面接官や採用担当者が性別欄を見た上で選考した場合に偏見で女性が不利になる可能性も指摘されている。

 労働問題に取り組むNPO法人「POSSE(ポッセ)」(東京都)は、就職活動での性差別や出生時とは異なる性別を生きるトランスジェンダーへの差別につながるとして、履歴書から性別欄をなくすことを求める署名をインターネット上で募り、1万3千筆を超えた。

 政府への署名提出などの働き掛けを受け、厚生労働省は4月、就職活動などで用いる履歴書の性別欄について男女別の選択肢を設けず、記載を任意とする様式例の案を初めて示した。

 ポッセの佐藤学氏は「法的な性別と自認する性別が異なる人らにとって強制的にカミングアウトさせられることになる。性別を採用段階で問われることで、女性が不利になりやすい現実もあり、さまざまな意味で性差別につながる」と指摘した。

 県内自治体の8割は男女二択から選ばせる方式だが、南大東村や北大東村など、そもそも規定の様式がない自治体もある。一方、県は性別欄を記入式で残した上で任意記載とする。

 性別欄のない履歴書を取り入れる企業も増えており、県内の自治体が遅れている現状が浮き彫りとなった。琉球新報社は2007年入社分から性別欄のない履歴書を使っている。

 (明真南斗)