「沖縄のナイチンゲール」眞玉橋ノブさんの沖縄戦体験たどる 23日配信 県立図書館


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
収録をする眞玉橋ノブ研究所事務局長の松岡良幸さん(左)と県立図書館主任司書の仲尾涼子さん=19日、那覇市の県立図書館

 あなたの「すくぶん」は何ですか―。県立図書館は23日の「慰霊の日」に、沖縄の看護の礎を築いた眞玉橋ノブさん(1918~2004年)の青春時代から沖縄戦体験を解説するオンライン講座を配信する。県立図書館の仲尾涼子主任司書と企画に協力した眞玉橋ノブ研究所の松岡良幸事務局長が19日、那覇市の同館で収録を行い、眞玉橋さんの体験をまとめた絵本や当時の写真、手記などを交え、沖縄戦と看護の歴史をたどった。「すくぶん」は、方言で使命や役割を意味する。

 紹介した絵本は同研究所が制作した「すくぶん 南の島のナイチンゲール 眞玉橋ノブ物語」。

 眞玉橋さんは沖縄戦で陸軍病院の看護婦長として傷病兵を看護した。戦後は沖縄の看護の再建と発展に尽力した。1985年には、看護師の最高栄誉とされるフローレンス・ナイチンゲール記章を県出身者で初めて受章した。講座では授与式の映像も公開する。

 県立図書館は例年、慰霊の日に合わせ沖縄戦に関する本の紹介や読み書かせを開催してきた。だが、今年は新型コロナウイルスの影響で当面の間休館しているため、オンライン講座の配信に至った。

 今年は医療従事者の働く姿を報道で目にする機会も多かったことから、看護の視点から沖縄戦を考えることをテーマに選んだといい、仲尾さんは「絵本や配信を見て自分のすくぶんは何かを考えてみてほしい」と呼び掛けた。

 同研究所は現在、ネット上で公開する絵本の英訳も進めている。松岡さんは「ノブ先生の歴史を含め戦争を乗り越えた人たちの経験を子どもたちに伝えていきたい。看護の歴史を見つめ直すことが、現在看護を頑張っている人たちのエールにもなると思う」と語った。

 収録した映像は23日午前10時、県立図書館のユーチューブアカウントで配信する。