「平和は私たち次第」沖縄戦の語り部目指す中学生たちの模索


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沖縄戦体験者から聞き取りをした南風原中の生徒たち=5月6日、南風原町の南風原文化センター(南風原町地域学校協働本部事業提供)

 南風原町立南風原中学(當間保校長)の2~3年の生徒7人が、沖縄戦体験者から直接体験を聞き取り、自らが語り部となって全校生徒に継承する取り組みに挑戦している。7人は体験者の高齢化や、新型コロナウイルス感染拡大の影響で平和集会を開けないことなどから「自らが語り部となる必要がある」と感じている。現在、体験者3人から聞いた話をパソコンにまとめ、今月末にはオンラインで全校生徒に体験を語り継ぐ。

 7人は5月6日、南風原町の南風原文化センターで80~90代の沖縄戦体験者3人から、約3時間をかけて聞き取った。体験者は自身に打ち込まれた砲弾の破片や写真、資料を見せながら証言した。

 「苦しみながら話す様子を見て、そのまま聞き進めていいものか悩んだ」。3年の又吉ねねかさん(15)は、涙をためて語る体験者に接し、調査をためらったことを振り返った。「思い出したくないことを言葉にしてくれた。伝えていく責任を感じた」と語り継ぐ意思がさらに強まった。

 2年の山下幸也さん(14)は「体験者から直接聞くのと、僕たちを通して聞くのとではリアルさが違う。今はまだ、どうにか体験者から直接話を聞くことができる。オンライン平和集会では直接聞くことの大切さも改めて伝えたい」と話した。

 7人は「体験者と同じように話すことは難しい」と不安を口にしながらも、「それでも工夫しながら語り継がなきゃいけない。未来の平和は私たち次第だと思う」(又吉さん)と力を込めた。

(嘉数陽)