23日に開催された沖縄全戦没者追悼式での県遺族連合会・宮城篤正会長のあいさつ要旨は次の通り。
今年もまた、私たちにとって忘れることのできない「慰霊の日」が巡ってきた。今年は、凄惨(せいさん)な沖縄戦から76年。忌まわしい地獄のような戦争体験が昨日のように脳裏に浮かび胸が張り裂ける思いがする。
戦没者諸霊は、激しかった沖縄戦および外地において、祖国の安泰を願い、家族を案じつつ、ついに尊い生命を祖国のためにささげられた。今、霊前に立ち、在りし日をしのび、諸霊に対する追慕の情は、さらに深く、新たなる痛恨の念が胸に迫ってくることを禁じ得ない。
顧みれば、戦没者遺族が歩んだ道のりは、長く苦しい歳月だった。しかし、互いに助けあい、励ましあいながら懸命に生き抜いてきた。終戦から76年、いまだにご遺骨、米軍の不発弾が発見され、沖縄の戦後は、いまだに終わっていないのだと実感している。
わが国は、焦土の中から国民が一体となって立ち上がり、幾多の困難を乗り越え、今日の平和と繁栄を築き上げた。この平和と繁栄は、皆さまの尊い礎の上に築かれたものであることを私たち日本国民は、決して忘れてはならない。
私たち戦没者遺族は、英霊顕彰と平和運動を推進するため、世界恒久平和を祈願し、平和祈願慰霊行進を実施している。だが、昨年に引き続き、新型コロナウイルスの影響で中止となり、追悼式も遺族会からは私一人の出席となり、断腸の思いだ。二度と「戦没者遺族を出さない」という強い信念をもってこれからも活動を続けていく。