戦後アメリカに持ち帰った釣り鐘 沖縄に返還へ 琉米歴史研がセレモニー


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メラニー・カーティスさんとオンラインでつなぎ、釣り鐘の返還セレモニーを開く琉米歴史研究会の喜舎場静夫理事長=22日、北中城村喜舎場のあやかりの杜

 沖縄戦に従軍した米海兵隊のロイ・ガイガー中将が終戦後、沖縄から米国に持ち帰った釣り鐘が返還されることになった。7月上旬ごろ沖縄に到着し、県立博物館・美術館に寄贈される予定。琉米歴史研究会の喜舎場静夫理事長が交渉を重ね、今回返還に至った。

 

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 北中城村喜舎場のあやかりの杜で22日、ガイガー氏の孫娘メラニー・カーティスさん(72)=米フロリダ州=とオンラインでつなぎ、返還セレモニーが開かれた。鐘は高さ約65センチ、重さ約40キロ。鐘が製造された時期や、どこに置かれていたかなどは分かっていない。

今回沖縄に返還されることが決まった釣り鐘(喜舎場静夫氏提供)

 カーティスさんは小さい頃からこの鐘と親しんできたとし、誕生日など何か行事があるたび鳴らしたという。「生活の一部だった。いろんな思い出がある」と感慨深そうに話した。手元から離れることに寂しさをにじませつつ「沖縄県民の元へ返されることになり非常にうれしい」と語った。

 喜舎場理事長は「鐘を見ることで歴史や文化に触れ、戦争があったことなどを忘れてほしくない」と述べた。
 沖縄に着いた後、県立博物館・美術館の学芸員らが、他の鐘とも比較しながら、製造時期や場所を調査する。