新型コロナウイルス感染拡大による休校措置が解除された21日、沖縄本島南部の小学校正門前で、3年生の女子児童が口をぎゅっと結んだまま立ち止まっていた。この日は雨。登校時間は過ぎていた。「久しぶり。元気だった?」。養護教諭が声を掛けても、女子児童は黙ったまま。しばらく声を掛け続け、手をつないで学校に入った。「コロナ後、こういうやりとりが増えた」と養護教諭は話す。
感染拡大後、学校では精神的な不安から保健室を訪れる子どもが増えている。養護教諭は危機感を強めるが、新型コロナ関連の業務は増えていて「子どもの心の不調に十分応えられていない」と焦りを募らせる。
南部の小学校に勤務する30代の養護教諭は「最近は児童一人一人に時間がかかる。保健室に来た理由を聞いても曖昧なことしか言わない。静かに泣く子もいる。低学年ほど気持ちを言葉にできなくて苦しそうだ」と説明する。登校を渋る子が増え、中には午後から登校する児童もいる。
声掛けが必要な子が増える一方、養護教諭は普段の業務とは別に、発熱した児童を別室で対応するなど、気を遣う場面が増えた。「地域ボランティアの人に協力してもらいたいが、感染防止のために交流を抑えなければならない。解決が難しい」と厳しい現状を明かす。
頭を抱えているのは高校も同じだ。「多いときは1日に10人近く、なんとなくの体調不良を訴える生徒がいる。コロナ前にはなかった」。16日、本島南部の高校に勤務する養護教諭の女性は、内科検診で再検査が必要とみられる生徒への連絡準備に追われていた。「この作業もコロナ前ならもう終わっていた。生徒の健康に関わるから焦りが募る。学校への適応が難しい生徒は休校でさらに休みがちになった。不安を訴える子は今後もっと増えるのでは」と心配した。
新型コロナの感染拡大後の20年度に保健室を利用した児童生徒数について、県教育委員会は7月末に取りまとめる予定。(嘉数陽)
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