【石垣】石垣市議会(平良秀之議長)は25日の議会運営委員会で、市政与党会派ONEの友寄永三氏から提案のあった市自治基本条例の改正案について、28日の最終本会議に上程することを決定した。改正案は住民投票に関する部分の削除を求めるもので、可決されれば市民の権利や自治の在り方を巡り、大きな波紋を呼ぶことは避けられない。
友寄氏が提案したのは、(1)条文中の市民の定義を石垣市に住民票を持つ者とすること(2)市民による住民投票の請求など住民投票に関する条文(第27、28条)の全削除(3)自治基本条例を「市政の最高規範」とする規定の削除―の3点。条例には5年以内ごとに市民の意見を踏まえて条例を見直すことも規定されており、3月に審議会が市に答申した内容とほぼ一致する。
友寄氏は取材に「今議会で市の執行部が改正案を提案するのは間に合わないので、議員提案として提出した」と説明している。
自治基本条例に関しては、市平得大俣への陸上自衛隊配備計画について「市住民投票を求める会」が条例を根拠に市民の署名を集め、住民投票実施を請求したが実現に至らず、現在、市と係争中だ。同会の金城龍太郎代表(30)は「われわれの動きを止めようというように感じる」と話し、提案に危機感を募らせた。
自治基本条例を巡っては2019年に与党の自民会派が「まちづくりを進めるために必要があるとのことから制定されたが、社会情勢の変化や、二元代表制の円滑な運用には必ずしも有用な条例ではない」などとして条例を廃止する条例案を議会に提出したが、否決された経緯がある。
審議会では、条例の廃止も含めて検討を求める意見も上がっていた。 (西銘研志郎)