【糸満】「平和を子どもたちにつなげますように」。慰霊の日の23日、那覇市の高江洲啓子さん(67)は妹や娘、3人の孫など、3世代で糸満市山城の開南健児之塔を訪れ、塔に刻まれたおじを弔った。おじは開南中の5期生で、17歳の時に動員された。戦後、級友などへの聞き取りから、宜野湾市嘉数か那覇市首里末吉町の付近で亡くなった可能性があるという。高江洲さんは「子どもたちが戦争に巻き込まれるようなことは絶対にあってはならない」と平和への願いを強調した。
小雨が降る中、数本の線香にライターで火を付け、黙とうをささげながら、祈りを込めた。
「ここに若くして亡くなった人たちの名前があるよ」。高江洲さんはおじの名が刻まれた慰霊碑を指さしながら、孫に語り掛けた。
高江洲さんは孫と訪れた理由について「今は理解できないかもしれないが、慰霊碑を訪れる体験を重ねることで、子どもたちの記憶に少しでも残り、それが継承の一助になってくれればうれしい」と話した。
「おじの死を悼み、少しでも良い未来が開けるように、できる限り孫と一緒にここを訪れたい」とほほ笑んだ。
(友寄開)