妊娠の不安や産後うつを訪問看護で支援 沖縄初、宜野湾市に開所


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双子がいる家庭を訪問する喜久山仁美さん(左)=本島内(訪問看護ステーションeight提供)

 【中部】沖縄本島中部7市町村を中心に、精神的ケアと妊娠、子育てを支援する「訪問看護ステーションeight(エイト)」(宜野湾市喜友名)が5月に開所した。精神と母子支援に特化した訪問看護は県内初で、全国的にも珍しいという。精神科認定看護師の所長・喜久山敦さん(48)と助産師の仁美さん(45)夫婦が中心となり、訪問看護を「身近に感じてほしい」と呼び掛けている。

 エイトという名前は無限を意味する「∞」から取り、訪問看護利用者の無限の可能性を信じて支援する。県立病院で今年3月まで22年、看護師として働いた敦さんが「利用者さんがその人らしく生活できるよう、地域で継続して支えていきたい」と独立を一念発起した。中城村南上原にある助産院プルメリアの院長、仁美さんの専門性を加え、事業をスタートさせた。

「訪問看護を身近に感じてほしい」と呼び掛ける訪問看護ステーションeightの喜久山敦さん(右)と仁美さん

 訪問看護は、妊娠中の身体管理や産前産後の保健指導だけではなく、妊娠や産後の心配事、産後うつ支援にも特化する。双子や三つ子の悩み、父親の相談にも対応する。喜久山夫婦とスタッフの計10人で中部地域を中心に奔走している。

 仁美さんによると、新型コロナウイルス感染拡大で妊婦の不安が高まり、産後うつが増えている現状があるという。また父親の産後うつもあるとされる。

 敦さんは「訪問看護の敷居は低く、プロの技術が提供できる」と強調し、仁美さんは「『こんな母子支援があったらいいな』を実現したい」と意気込む。

 訪問看護を受けるには、精神科や産科、小児科の医師の訪問看護指示書が必要となる。自立支援医療制度や医療保険制度、こども医療費助成制度が活用できる。利用料金などの問い合わせは精神科関連が(電話)098(988)8317、母子支援関連が(電話)098(988)8817(平日午前8時半~午後5時半)。ホームページはhttps://houmonkango-eight.com