銀行装い偽メール 不正送金逮捕 暴力団、手口巧妙化か


社会
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 指定暴力団旭琉会構成員らによって現金5千万円以上がだまし取られた不正アクセス禁止法違反事件。県警によると、県内には二つの犯行グループがあり、背後には暴力団組織の関与が浮上している。メガバンクを装ったショートメッセージサービス(SMS)を送りつけて、被害者から現金をだまし取る手口は2020年9月から全国的にも多発傾向にあった。県警は表だった資金獲得活動に窮した暴力団組織の犯行手口が巧妙化しているとみて、慎重に捜査を進めている。

 犯行グループは指示役を筆頭に明確な役割分担がなされていた。サイバー犯罪対策課によると、旭琉会構成員の金城博希容疑者らが指示役となり、不正に詐取した現金の送信先口座を準備する福田良太容疑者、入金後に現金を引き出す「出し子」の三つの役割があり、総勢17人が摘発されている。

 全国各地の被害者からだまし取った現金は県内地銀の口座に不正送金され、現金自動預払機(ATM)などで引き出されていた。県警は詐取された現金の送金先となった県内地銀口座の名義人から事情を聞き、悪質性などが判断されれば犯罪収益移転防止法違反での立件も視野に捜査を進めている。

 一方で犯行の端緒となるSMSやメガバンクを装ったフィッシングサイトなどは海外サーバーなどを経由しているため、作成者の特定などには至っていない。県警はSMSの送信先となった、被害者の携帯電話番号の入手先などを調べるとともに、引き出された現金の流れなど事件の全容解明を急ぐ方針だ。