「子どもたちに明るい未来見せる」女子車いすマラソン代表の喜納が会見


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にこやかな表情で記者団の質問に答える喜納翼(左)と下地隆之コーチ=29日

 東京パラリンピックの女子車いすマラソンT54クラス代表に内定している喜納翼(タイヤランド沖縄)と下地隆之コーチが29日、オンラインで会見を開いた。現在も県内を拠点とし、持久力強化をメーンに鍛錬を積んでいる。本番が2カ月後に迫る中、喜納は「心境の変化はなく、淡々と走り込みをしている。持久力が上がってきている印象はある」と笑顔を見せ、状態の良さをうかがわせた。

 緊急事態宣言下で競技場が使えず、梅雨も重なってロード練習も日によって難しいため、今は室内でのローラー走行が中心。長い日は1日1時間半~2時間、距離にして60キロ分を走るという。仕上がりは「まだまだ上げていきたいという気持ちも含めて70%くらい」と語った。

 昨年は苦手な上り坂の克服のため、筋力強化に注力し、ローラーに負荷を掛けた練習などを通して「少しずつ良くなってきた」と成長を実感している。

 本番の42・195キロは国立競技場発着で浅草寺や銀座、東京タワーなど都内名所を巡る。序盤は5~6キロまで下りが続き、その後はほぼ平たんな道が続く。最後は勝負のポイントとなる急勾配の上りがある。

 下り坂を利用して加速し、そのまま高速を維持する技術や持久力を武器とする喜納。詳細なレース展開や戦略は今後練っていくというが「自分の持ち味は下りからの高速維持。その場所があれば積極的に走りたい」と展望した。

 二人三脚で結果を残してきた下地コーチは「世界選手権や東京マラソンでも海外選手と戦ってきている。これまで同様にしっかり能力を生かせれば世界と戦える」と自信をのぞかせる。本番に向け「高速の持久型で、上りの強さも出てきた。ゴールまでいい走りができたら」と見通した。

 喜納は現時点で順位やタイムなどの目標は設定せず「できることはただひたすら全力で頑張るだけ。後半はきつくなってくると思うので、全力で走るのを応援してほしい」と話した。福祉講話で小学校を訪問する機会が多いことに触れ「車いすでもこれだけ頑張れる。触れ合った子どもたちが少しでも明るい未来を感じてくれたらと思う」と自らを奮い立たせた。