野手から転身、コーチ兼マネジャー 糸満・松尾「甲子園で1勝」<高校野球2021>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
甲子園出場を目標に、選手を全力でサポートする、糸満の松尾玲学生コーチ兼マネジャー=6月30日、同校

 夏の甲子園出場を懸けた、第103回全国高校野球選手権沖縄大会が3日、開幕する。65校61チームが、沖縄の頂点を目指し熱闘を繰り広げる。3年間の集大成となる舞台に持てる力の全てをぶつける選手や、先輩たちの思いを継ぎ優勝を目指す選手、出場できずともチームを懸命に支える選手などを紹介する。

 部員80人超という大所帯の糸満で、選手を支える学生コーチ兼マネジャーがいる。3年の松尾玲だ。秋の大会から記録員としてベンチに入り、打席での助言や選手と監督をつなぐ“橋渡し役”を担う。チームが掲げる「甲子園での1勝」の目標の下、まずは県大会での優勝に全力を注ぐ。

 昨秋まで外野手として活躍したが、同学年に唯一いたマネジャーが辞めたことで、選手からコーチ兼マネジャーへの転身を決意した。自身の役割を「選手を一番に考えて選手以上に(努力を)しないといけない」と説明する。ノックなど練習補助のほか、試合中は打撃への助言もし「気づいたことがあれば、選手の目線から見たアドバイスもしている」。勝つために何が必要かを常に考える。

 チームにとって松尾は欠かせない存在だ。眞玉橋元博監督は「監督と選手をつないでくれて、すごく助かっている」と語る。練習メニューの伝達だけでなく、「しっかり者で、段取りや調整までしてくれる」と調整力にも感心する。

 選手も同様に松尾の働きに助けられている。池原孟克主将は「人数が多いと選手をまとめることも大変。でも、松尾がいることでプレーに集中できる」と全幅の信頼を置く。

 どこよりも長い夏を過ごすため、松尾は「できることは限られているけど、甲子園で1勝という目標をかなえるために全力で支える」と仲間を信じ役割を全うする決意だ。