沖縄戦「語り継ぎ部」に 糸満中、新聞使い平和学習 「カタリスト」選定へ


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新聞記事を読んではがき新聞を作成する糸満中の生徒たち=6月29日、糸満市の糸満中学校

 【糸満】沖縄戦を知らない私たちが体験を語り継ぐ次世代の「語り継ぎ部(べ)」となります―。糸満中学校(大城直之校長)は6月29日、同中で琉球新報小中学生新聞「りゅうPON!」と沖縄タイムス「ワラビー」がそれぞれ発行した沖縄戦の特別号を活用した平和学習を開いた。全校生徒515人が各教室で両紙を読み、自身で伝えたいメッセージを「はがき新聞」にまとめた。仕上がったはがき新聞は今後、各学年のフロアに掲示して投票・集計し、戦争体験を伝える「次世代カタリスト」を選ぶ。

 この日は朝から、図書委員が絵本「白梅学徒隊 きくさんの沖縄戦」を電子黒板で紹介しながら、構内一斉放送で読み聞かせをし、糸満市の平和ガイドを務める生徒が研修内容を紹介。

 5・6校時には、両紙が伝えた沖縄戦の記事を読み込み、印象に残った内容や分かったこと、戦争を知らない世代に向けたメッセージをはがき新聞に書き込んだ。

生徒たちが作成したはがき新聞

 作成後、自分とは異なるテーマでまとめた者同士で考えを伝え合った生徒たち。「体験者はつらく苦しかったんだと思った」「人間が人間でなくなる、と書かれていて、戦争は怖いものだと思った」などと感じた思いを語り合った。

 はがき新聞の見出しに「起きる必要がなかった沖縄戦」と書いた1年の玉城俐祁(りき)さん(12)は「日本とアメリカは一度は話し合おうとして、それを日本が断ったことで戦争につながった。話し合いで解決できれば、沖縄戦も起きなかった」と語り「戦争を知らない世代には、相手の考えを尊重し大事にしようと伝えたい」と話した。

 1年の喜納稟心(りこ)さん(12)は「死体を見ても何も感じなかった、という体験者の証言を読んで、戦争は人を変えると思った。人間が人間でなくなる戦争はしてはいけないと思った」と語った。