拝啓、国連事務総長 南部土砂採取「議論して」 仲本さん呼び掛け、沖国大生37人がメール


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本島南部からの砂採取問題について、国連事務総長らに国際問題としての議論を訴えるメールを送った、呼び掛け人で沖国大4年の仲本和さん=5日、那覇市の琉球新報社

 「遺骨の人権を守るため、力を貸してください」。辺野古新基地建設の設計変更申請を巡り、沖縄戦の激戦地となった本島南部からの土砂採取が計画されていることについて、沖縄国際大学の学生37人が、「国際問題として国連で議論してほしい」などと訴える電子メールを、5日に国連事務総長らに送った。

 呼び掛け人の仲本和(わたる)さん(21)=同大4年=は「沖縄戦で犠牲になった人たちが76年たった今、また国の計画で犠牲になろうとしている。国の考えが変わらないなら、国連に助けを求めようと思った」と話した。

 仲本さんは沖国大の平和学ゼミで学んでいる。学校現場での平和教育のあり方や、南部土砂採取問題に特に危機感を抱いている。県内外の大学でこれまでに15回以上、自らが授業をして問題を訴えてきた。

 今回、国連事務総長らに電子メールを送ったきっかけは、ことし4月末の沖国大での授業だった。仲本さんが仲間と共に教壇に立ち、南部土砂採取問題について説明した際、多くの学生が仲本さんらと同じように危機感を示した。

 仲本さんは当初、自分一人でメールを送る予定だったが、授業を受けた学生たちに「一緒にメッセージを送らないか」と提案したところ、36人分のメッセージが集まった。

 「メッセージは、沖縄戦から76年たった今でも沖縄が被害の中心にいることへの憤りや、今の政府への不満などがあった」と仲本さん。一緒にメッセージを送る仲間がいることをうれしく思うと同時に、「諦めずに問題を訴え続けることの大切さ」も改めて感じた。

 仲本さんは関係者から要望を受けて、7月中に県外の大学2校でオンライン授業をする予定だ。

 「沖縄戦で亡くなった人たちの人権を守ることができるのは、今を生きる私たちだけだ。県外の学生にも広く知ってもらいたい。沖縄戦から現代まで、問題がどうつながっているのかを分かってほしい。それが戦争のない世界につながると思う」と話した。
 (嘉数陽)