子どもの急病相談「#8000」開始11年 保護者のSOSに応え「気軽に頼れる存在に」


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「子ども医療電話相談(#8000)」のポスター

 夜間や休日の、急な子どもの病気やケガについて相談に応じる県の「子ども医療電話相談(#8000)」は、救急業務の負担軽減や核家族化の影響によって、気軽に子育ての相談ができなくなった保護者の子育て支援などを目的に、2010年から始まった。開始から11年を迎えた今年、同事業の名称はこれまでの相談内容を踏まえ、「小児救急電話相談」から「子ども医療電話相談」に変わった。

 「赤ちゃんのへその緒がじゅくじゅくしている」「予防接種は受けた方がいいのか」「赤ちゃんが泣きやまない」―。#8000には、保護者からのさまざまな悩みが日々寄せられる。

 業務を担う県看護協会では、毎月看護師10人がローテーションを組んで対応する。忙しい時には、ひっきりなしに電話が鳴り響くという。

 子育てに奮闘する保護者に、いかに寄り添うか。事業の在り方について模索が続いている。

 事業開始当初からコーディネーターを務めてきた看護師の志茂ふじみさんは「救急というよりも、子育ての悩み相談のような電話が年々増えている印象がある」と話す。「今はちょっとした悩みを共有できるような、家族や地域との交流がない家庭も多い。インターネットのさまざまな情報を見ることで、むやみに不安になってしまうお母さんたちも多いんじゃないかな」と推測する。

 時には「もう虐待してしまいそう」「保険証がなくて病院に行けない。お金がなく薬も買えない」といったSOSも寄せられるという。助けを求める1本の電話を、どう具体的な子育て支援につなぐか。行政窓口や保健師、地域の小児科などとの連携も今後の課題だ。

 志茂さんは「電話相談の限界を感じることもあるが、ちょっと困った時に気軽に頼れる存在になることも子育て支援の一つ。より身近な存在になるよう事業を展開していきたい」と今後を見据える。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、県は不要不急の救急受診を控えるよう求めている。一方で、本来であればすぐにでも受診が必要な症状でも、感染を恐れて受診を控える事例が見受けられるという。志茂さんは「子どもは症状が悪化するのが早い。取り返しがつかなくなる前に、#8000に電話するか、躊躇(ちゅうちょ)せずかかりつけ医に相談してほしい」と注意を呼び掛けた。(嶋岡すみれ)