路上飲酒や迷惑駐車…コロナ禍で客が減った公設市場周辺の今<県都のみらい>


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短冊に書かれた願いに目を通すサンライズなは商店街振興組合の仲本悦子さん(左)と親川万利奈さん=6日、那覇市の同商店街

 「コロナがおさまってみんなに会えますように」「マスクを取って笑い合える日が来ますように」―。6日、那覇市の中心商店街に設置されていた七夕のササには、新型コロナウイルス感染症の収束を願う短冊が目立った。ササの設置は「密を避けられるイベントを」と商店街が企画した。短冊は関係者や通行人が書いたものだ。感染拡大の影響は市民の健康や経済活動にとどまらず、街の治安にも影を落としている。

 那覇市平和通り商店街振興組合によると、平和通りの客足は感染拡大前の約3割に落ち込んでいる。平和通りにある約170店舗のうち約15店舗が空き店舗になり、約10店舗が休業している。新栄通り(サンライズなは)商店街では88店舗中、空き店舗は3店舗にとどまっているが、休業や営業時間の短縮によってシャッターを下ろしている店舗も多い。客足は店によって2割~半分程度に落ち込んでいる。

 人が減り通りは暗くなった。結果、サンライズなは商店街では路上飲酒が増えたり、緊急事態宣言による酒類提供停止要請に応じない店に酔客が集中したりしている。本来は許可された車しか商店街に進入できないが、無許可の迷惑駐車も深刻化している。酔っぱらいのけんかや立ち小便、不法投棄―。同商店街振興組合の理事らは毎日のようにトラブルへの対応に追われている。

 仲本悦子理事(59)は同商店街近くで生まれ育ち、幼い頃から商店街で遊んだ。「このままでは子どもたちが安心、安全に通れる商店街ではなくなってしまう。明るい商店街を取り戻したい」と危機感を募らせる。

 迷惑行為について警察などにも相談したが解決しなかった。商店街関係者が求めているのは迷惑行為を取り締まる条例の制定だ。理事の親川万利奈さん(31)は「どこに相談すれば条例を制定できるのか」と頭を抱える。

 市議選の告示後、中心商店街には各候補者が連日訪れる。だが親川さんは「4年ぶりに見た候補者もいる。普段から問題に目を向けてほしい」と話す。

 同じくコロナ禍で打撃を受けている第一牧志公設市場組合は市議会へ陳情を出し、窮状を訴えてきた。だが、2月に出した市場入居者が支払う使用料(家賃)の軽減を求める陳情は審議未了のまま終わり、改選後の議会では審議されない。

 審議に関わった市議によると、意見が一致しなかったという。同市場の粟国智光組合長(46)は「陳情は市民の最後のよりどころだ。なぜ採択できなかったのか、代わりにどういう解決法があるのかも教えてほしい」と丁寧な対応を求める。「市民の声を聞き、一緒に課題を解決できる人に議員になってほしい」

 (伊佐尚記)


 那覇市議会議員選挙の投開票が11日に迫っている。那覇市が抱える課題を現場から報告する。