沖縄でバニラビーンズを 「甘く自然な香り」生成へ連携 琉大と宮平乳業


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 宮平乳業(糸満市)と琉球大(西原町)は6月30日、バニラ・フレーバーの原料となる加工品バニラビーンズを県内生産する取り組みを発表した。価格が高騰しているバニラビーンズを生産するため、県産バニラビーンズの香りを出す工程(キュアリング)の確立や商品開発などを研究している。琉球大の平良東紀教授は「バニラ農家、企業、大学が協力して規格化、沖縄ブランド化していきたい。バニラ協同組合を設立し、規格をクリアした製品を国内外に県産バニラビーンズとして販売したい」と話した。

 バニラビーンズはラン科植物のバニラの果実を発酵・乾燥させたもので、マダガスカルやインドネシアなどが主な生産地となっている。バニラの甘い香りは化学合成も可能だが、消費者の自然志向が高まり、世界の大手食品企業が天然材料を使う戦略に切り替えたことから、価格が高騰し現在は1キロ約5万円となっている。日本はバニラビーンズをほぼ100%輸入に頼っている。

 宮平乳業は2018年、県産バニラとバニラビーンズの調査を始めた。石垣島など県内数カ所でバニラが栽培されているが、キュアリング技術が十分に確立していないため、安定供給や品質に課題があることが分かった。19年からバニラの研究をしていた高校の教員や、香り成分のバニリンなどの研究をしていた大学教員、バニラ農家らと勉強会を重ねた。20年には琉球大学や日本香料薬品と共同で収穫時期や沖縄バニラの種、品種などについて研究した。

 宮平乳業の池良一統括本部長は「平良教授と一緒に数年実験してきた。今回の事業を成功させたい」と意気込んだ。

香りを出す技術(キュアリング)前のバニラの果実(琉球大提供)
県産ブランドのバニラビーンズ生産に向けて取り組んでいる琉球大の平良東紀教授(中央)と宮平乳業の池良一統括本部長(右から2人目)ら=6月30日、西原町の琉球大