カヌー當銘「シングルの脳みそ」に 五輪本番まで1カ月、宜野座で暑さ対策


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東京五輪に向け、最後の調整に励むカヌー・スプリントのカナディアンシングル1000メートル代表の當銘孝仁=7日、宜野座村の漢那ダム(高辻浩之撮影)

 カヌー・スプリントのカナディアンシングル1000メートルで東京五輪に出場する當銘孝仁(28)=沖縄水産高―大正大出、新潟・三条市スポーツ協会)=が、5日から宜野座村の漢那ダムで本番前の最終合宿を行っている。本番まであと1カ月。「しっかり準備し、自分のできることを全部やりたい」と自身の心技体を見詰め、細やかな調整を続ける。

 7日は午前7時すぎから練習を始めた。ボートに乗って並走するコーチから助言を受けながら、一こぎ一こぎの感覚を確かめるようにゆったりと進んでいく。その後は筋力トレーニングに汗を流し、計2時間ほどでこの日の練習を終えた。

「メダルを取れたらいい」と語る當銘孝仁

 石川県で合宿していた前週は1日4~5時間、強度の高い練習をしていたため、今週は回復を図るために軽いメニューだという。「来週からはまた高強度になり、試合に近いペースでこぐ練習になる。ただ量は多くない。本番で疲労が抜けないと元も子もない」と計画的に調整を進める。

 メンバーは自身とコーチのみ。合宿地は他にも候補があったが「慣れた環境だし、こっちの方が集中できる」と地元を最終調整の場に選んだ。本番は暑さが厳しさを増すことが予想される8月上旬のため、「沖縄なら暑さ対策もできる」と万全な状態を求める。

 沖縄水産高の一つ違いの後輩である大城海輝と組み、長らくペアでの五輪出場を目指していた。5月下旬の選考会からシングルがメインになり、「パドルを水に入れるタイミングやこぐ感覚の重さが違う」という。パドルの長さを従来より1~2センチ長くしたり、練習を重ねる中で「切り替えられている感覚はある。シングルの脳みそになってる」と順調に適応してきているようだ。

 シングルではドイツやブラジル、キューバなど強豪国の選手がそろい、「過去のオリンピックの中でもレベルは最高」とみる。ペアをメインにしていた時間も長いため「自分は挑戦者側。レース展開は国内の大会のようにはいかないので、臨機応変に対応したい」と冷静に自身の実力を分析している。

 「まずは自分がやってきたことをしっかり出す。その上で決勝に進み、メダルを取れたらいい」と足元を見詰め、本番に備える。親族も含め、会場に観客が入れるかは不透明な状況が続くが「会場に来られる人がいれば、自分が一生懸命やってる姿を見て何かを感じるようなレースがしたい」と気合を入れた。

 カナディアンシングル1000メートルは東京・海の森水上競技場を会場に、8月6日に予選、準々決勝、翌7日に準決勝、決勝が行われる。