沖縄銀行は9日、地域総合商社「みらいおきなわ」を始動させた。地域資源を活用した商品を企画し国内外へ売り込む組織として、県経済の活性化に期待がかかる。沖銀の山城正保頭取に、設立の目的や今後の展望などについて聞いた。
―金融機関が地域総合商社を立ち上げる意義は。
「県民所得を向上させるには、付加価値があるモノを県内でつくり、国内外に展開すべきだと考えていた。よりよいサービスを提供して事業者を支えるため、金融監督指針の改正を追い風に認可を取り、出資100%の地域総合商社を立ち上げることになった」
「われわれは全国の地方銀行とのパイプがある。地域のビッグデータを持つ各地銀との連携は、非常に有意義だ。県外への事業に当たり、情報をサポートして売り上げ向上に資する役割は、地銀が一番適しているのではないか。われわれは県内の既存業者と競合したり圧迫したりするのではなく、サポート役に徹することを身上としていく」
―事業の内容は。
「一つは販路開拓の支援だ。県内事業者の販路を、オンラインなどを活用しながら展開できる。例えば、当行は『バンカーズチョイス』に参画している。全国の金融機関が推薦する地元の逸品をカタログ販売するサービスだが、そこにお客さまの商品を紹介したい。製造業支援も力を注ぎたい。沖縄発の独自技術を海外などへ輸出することができる態勢をつくることで、県民の所得向上にもつながるのではないか」
「もう一つはコンサルティングだ。モノを売る支援、売れる商品を作るためにアシストする。沖縄銀行では『ビッグアドバンス』という経営支援プラットフォームを設立している。現在千を超える県内事業者らが加入している。オンライン上で全国の事業者とのビジネスマッチングなどを展開できるので活用したい」
―沖銀は持ち株会社に移行する計画だ。地域総合商社との関係は。
「持ち株会社への移行で総合金融サービスから金融をコアとした総合サービスグループに進化する。地域貢献に向けてもっと事業領域を拡大させていこうということで、体制を移行する取り組みの第1弾が地域総合商社となる」
―事業を展開するに当たっての課題は。
「まずはビッグアドバンスの展開から始めていくが、コンサルティング業務では、高度な技術を持つ人材が必ずしもいるわけではない。人材育成に取り組む一方で、外部からの招へいも検討しなければならないだろう」
「コロナ禍であらゆる業種で影響が出ている。収束後も見据えながらお客さまの売り上げを維持向上させるためにも、販路拡大やコンサル支援はわれわれに課せられた大きな使命だ。地域総合商社を立ち上げることで、これまで以上に県民の皆さまを総合的に支援できる体制を整えられた。事業者の皆さまには地域総合商社『みらいおきなわ』を知っていただき、そして利用していただくことで、地域貢献を果たしていきたい」
(聞き手・小波津智也)