ワクチン接種当日に県から「中止」連絡 加速化に陰り、供給不足も<検証 緊急事態宣言延長>2


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空港内に設置されたPCR検査会場に検査を受けに訪れる旅行客=8日、那覇空港

 「前倒しで優先接種を調整してきたが困難になった」。8日、県トラック協会に対し、新型コロナウイルスのワクチン接種を進める県から急きょ、その日に予定されていた優先接種の中止連絡が入った。県から優先接種を打診されたのは前日の7日。広域接種センターで8日夕から接種できるということで、会員事業者から接種希望者を募ったばかりだった。担当者は接種日当日のキャンセルで対応に追われた。

 8日は、県が再延長が決まった緊急事態宣言の対応を発表し、エッセンシャルワーカーらへの接種を進めると説明した日だった。県が同協会に接種を打診したのは社会経済活動を維持する警察官や消防士、保育士、学校教諭、インフラ関連事業者ら「エッセンシャルワーカー」に対する接種推進の一環。市町村からの接種券が届いていなくても県立武道館で8~11日に接種できるとのことだった。

 ワクチン接種を加速するため、県は市町村の接種会場とは別に、那覇市と宜野湾市の2カ所に広域接種センターを設置しており、接種券がある18歳以上の全県民が接種を受けられる。そこで直近1週間の予約に空きがあれば、エッセンシャルワーカーの接種を進めるため関連企業や団体に広く声掛けをしているという。

 ただ、予約枠はすぐに埋まった。県の担当者は「声を掛けても全てを取り込めていない。引き続き枠が空けば声掛けしたい」と申し訳なさそうに語った。

 接種の準備を進めていた同協会によると、運送業者などさまざまな物資を運ぶトラック運転手が接種予定だった。担当者は「ニーズは強い。機会があればまた声掛けしてほしい」と今後の優先接種に期待した。

 県もエッセンシャルワーカーらの優先接種に対応しようと、那覇市内に15日から追加で1カ所の広域接種センターを開所予定だった。だが、ワクチンの供給不足で遅れる可能性が出ている。職域接種もニーズがあるが政府は募集を締め切った。那覇市を中心に接種券が18歳以上の全市民に行き届いていない自治体もある。