排水路に高濃度の有害物質PFAS 指針の3.7倍、専門家「過去から汚染の可能性」


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 うるま市昆布の米陸軍貯油施設から有害性が指摘される有機フッ素化合物(PFAS)を含む汚染水の流出が発覚し、10日で1カ月が過ぎた。琉球新報は6月10日の発覚から4~5日後、現場周辺の排水路や湧き水から、水と土壌を採取し、京都大学の原田浩二准教授(環境衛生学)に分析を依頼した。10日までにまとめた結果によると、排水路の水からPFOSとPFOAの合計値が1リットル当たり185・8ナノグラム検出された。国の暫定指針値(同50ナノグラム)の3・7倍となっている。

 琉球新報は6月14日、流出現場から数十メートル下流の排水路で、たまった水と土砂を採取した。通常、排水路に水はないが、同13~14日の雨で水たまりがあった。また同15日、現場から約2・5キロ下流にある市宇堅の湧き水シリガーから水を、同ウキンガーから土壌を採取した。

 排水路の水は、市や県がさらに下流の昆布集落内や天願川から採取した水より高い値を示している。市が採取した水は、PFOSとPFOAの合計値が1リットル当たり9・7~130ナノグラムで、県が採取した水は同2・5~44ナノグラムだった。

 排水路の土壌は、1キログラム当たり3594・4ナノグラムとなっている。土壌は国の指針値はないが、環境省が2019年度に全国で実施した底質調査では、PFOSの最大値が同460ナノグラム、PFOAの最大値は同190ナノグラムだった。排水路の土壌はその合計より高い。

 また、2020年4月に普天間飛行場であったPFASを含む泡消火剤流出事故後の米軍の土壌調査の最大値は、同38・2ナノグラムだった。

 原田准教授は、排水路の水と土壌の値が高かったことに「流出のあった汚染水そのものではないにしても、この濃度は簡単には出ない。施設周辺で過去からの汚染があることを示している」と指摘した。

 (金良孝矢、新垣若菜)