【中部】米空軍嘉手納基地が1992年8月に作成した報告書で、嘉手納町兼久の米軍嘉手納マリーナ近くの消火訓練施設から泡消火剤などが大雨で流出し、海に流れ出たと指摘していたことが10日までに分かった。報告書は過去の水質調査をきっかけに流出に関する調査をしたと説明し、施設や訓練手法の改善を求めており、流出は繰り返し起きていたとみられる。流出した汚染水には発がん性などのリスクが指摘され、泡消火剤などに使われてきた有機フッ素化合物PFOSやPFOAが含まれていた可能性がある。
今年6月10日にうるま市の米陸軍貯油施設で発生した泡消火剤を含む汚染水の流出事故でも、汚染水を保管していた貯水槽が大雨であふれて基地の外に流出した。汚染物質が大雨で流出する問題は90年代から指摘されていたが、ずさんな管理が今も続いていることが明らかになった。
報告書は92年8月14日付で、琉球新報の情報公開請求に米軍が開示した。米空軍の調査・開発部局の職員が92年5月13日の大雨の日に消火訓練炉の周辺を調べたところ、白い泡と燃料があふれ出ていたと説明している。泡は排水溝に流れた後、コンクリートパイプを通って海に流出していたとしている。「炉をあふれ出た水は明らかに海に流出していた」と記載している。
また92年7月9日の雨が降っていない時に確認した際には、たまり水に厚さ約60センチの泡が確認されたことも記している。
報告書によると、この消火訓練施設は86年に整備された。米軍の内部規定によると、泡消火剤は管理された状態で処理される必要があり、雨水排水設備には合流させてはならないと指摘している。一方、日本や沖縄の環境基準については、資料が古く、明確でないとして評価を避けている。その上で再発防止策として、排水システムや訓練手順の改善などを求めている。
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