県系3世の知花さん、ブラジル代表で五輪出場へ 柔道女子48キロ級


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2019年中国武漢のミリタリーワールドゲームズの、知花さん(左)とアレックス・メイニーさん(本人提供)

 沖縄県系の選手が柔道48キロ級の女子ブラジル代表として東京五輪に出場する。柔道一家で育った知花ガブリエラ・しのぶさん(27)=読谷村3世=だ。知花広繁さん(読谷村出身、故人)の孫の一人で、5年前のリオ五輪初戦で日本代表に敗れた知花チャールズさんのいとこでもある。

 知花ガブリエラさんは4歳の頃から柔道を始め、各地の大会に出場している。初めての国際舞台は16歳の頃、ハンガリーで開かれた大会に出場し、7位に入った。柔道の世界の広さを実感し、その道に進むと決めたそうだ。

 学校との両立は厳しく、高校3年生の頃に名門校から転校した。大学もブラジル屈指の名門大学に通っていたが、私立大学へ転校し、7年かけて看護学科を卒業したという。柔道選手の道は険しく、コーチには「唯一大学を出た選手」と言われたほどだ。

 知花さんの両親は教育を大事にし、柔道ができなくなった場合の道をつくっておくべきと言われた。大学の研修で病院に通いながら柔道のトレーニングをする生活が続き、卒業後は五輪一筋となった。

 昨年の8月にポルトガルでトレーニングしていた際に膝の靱帯(じんたい)を断裂したが、わずか半年で復帰し、五輪出場を勝ち取った。

 知花さんは選手として初めて五輪に出場する。これまで練習相手として五輪に同行し、サラ・メネゼス選手の相手をした。選手村に滞在したことで、五輪に対する気持ちが強くなったそうだ。両親が南風原町出身で、同じ階級の日本代表・渡名喜風南選手と対戦した場合は「厳しい試合になる」と述べた。

 柔道で学んだ言葉の一つが「自他共栄」で「柔道は個人でやるスポーツだが、対戦相手を含めて成長するには周りの協力が必要だ」と語る。多忙な生活の中、沖縄県人会でも所属するビラ・カロン支部の予防接種事業などに、看護師の知識を生かしながら、ボランティアとして参加している。

 柔道のトレーニングのために日本を訪れたことがあるが、沖縄に足を運んだことはないという。知花さんは7月8日~24日まで東京に滞在し、すぐに帰国する。

 2019年に中国武漢で参加したミリタリーワールドゲームズで出会った米国の選手はルーツが同じ読谷村で、今でも連絡を取り合っているという。

(城間セルソ明秀通信員)