今帰仁村の當山克也さん(53)は、カヌー・スプリントのカナディアンペアで1988年ソウル、92年バルセロナと2大会連続で五輪に出場した元トップアスリートだ。自身以来、県勢2人目となるカヌーでの五輪出場を決めた當銘孝仁(28)は、おいに当たる大城海輝と高校時代からペアを組んでいたこともあり、長らく目を掛けてきた。体を酷使する競技だけに「年齢的にも最後の五輪かもしれない。頑張ってほしいな」と後悔のないレースを願う。
現在は漁師として海で働く當山さん。「かっこいいから、外国航路の船長になりたかった」と進学した沖縄水産高でカヌーを始めた。類いまれな身体能力と負けん気の強さで見る見るうちに成長し、高校2年でシングルの全国王者に。3年時は鳥取国体も制し「自慢じゃないけど、敵なしだった」と笑う。卒業後は実業団の名門マルニカヌークラブ、大学の強豪大正大に所属し、日本のトップを走り続けた。
五輪2大会はいずれも準決勝まで進出。「やるからにはとことん」と自らを追い込み、常に高みを見据えていた現役時代。「出るからには入賞やメダルを取るくらいじゃないと意味がない」と不満を残した。當銘に「決勝まで残ってほしい」と“自分超え”を期待する。
當銘は5月のアジア予選で大城とペアでの五輪出場を逃し、その後の国内代表選考会で優勝してシングルで出場することになった。現役の頃、普段はシングルをメーンにしながら五輪はペアで出場した當山さんは「當銘はペアの時に後ろでかじ取りもしてたから、シングルでもそこまで違和感はないと思う」と本番までには適応できると見る。「最低でも準決勝突破」と、繰り返し熱いエールを送った。
(長嶺真輝)