沖尚の美里、初登板ノーヒットノーラン 緩急自在に凡打の山<高校野球2021>


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社

 第103回全国高校野球選手権沖縄大会第9日は12日、11日から順延になった3回戦1試合が沖縄市のコザしんきんスタジアムで行われた。第1試合は沖縄尚学が8―0で那覇を下した。沖縄尚学は今大会初登板の右腕・美里大雅が9回を投げ抜いてノーヒットノーランを達成し8強入りした。第2試合の豊見城―沖縄水産の試合は雷や雨の悪天候となり、再び順延となり、13日午前10時から同球場で行う。

沖縄尚学―那覇 7回裏、直球で三振を奪いノーヒットノーランを続ける美里大雅(沖尚)=12日、沖縄市のコザしんきんスタジアム(高辻浩之撮影)

 沖縄尚学先発の美里大雅が9回を投げ抜き、ノーヒットノーランを達成した。打者30人と対戦し、9奪三振、与四球2の内容だった。

 110キロ台のカーブと130キロ台の直球を織り交ぜた緩急で那覇打線を沈黙させた。美里は秋、春の大会で出番はなく、最後の夏となる今大会はこれが初登板だった。「緊張もあったが、後ろに控えている(投手陣の)後間翔瑚や當山渚から全力で行ってこいと言われた」と仲間の言葉が大きな後押しとなった。

 試合は六回まで1―0と少しも気を抜けない展開。「点を取られたら流れを持っていかれると思っていた。気を引き締めて投げた」と語る。小気味のいい早いテンポで、ぽんぽんと投げ込み、ゴロやフライなど凡打の山を築いた。

 五回には2死を奪った後、四球でランナーを出し、続けて三振を奪いながら、ワイルドピッチで続けて出塁を許して一、二塁に。しかし、後続を三振に取ってきっちり締めた。

 ピンチといえるのはこの場面だけ。完璧な内容で初登板を飾り「素直にうれしい。これからも試合が控えているので気持ちを切り替えていきたい」と気の緩みは見せなかった。
 (大城三太)

 ●那覇 代打で起用された宇垣真暉主将 粘り強く守りからリズムをつくる自分たちの野球が中盤まではできた。終盤に大量点を奪われ、流れを引き戻せなかった。後輩たちは自分たちよりも力を持っているので、甲子園を目指して頑張ってほしい。

◆2年ぶり快挙 81、09年に記録

 県高野連によると、夏の県大会でのノーヒットノーランは、1981年6月の第63回選手権沖縄大会で、首里の真壁朝之が1回戦の大平戦で達成している。また、2009年7月、第91回選手権沖縄大会で八重山商工の花城直将が2回戦の南風原戦で成し遂げている。

 首里の真壁は当時2年生。182センチ、76キロの体格で、許したのは四球一つのみ。内角をうまく攻めて奪三振は10。春の大会に続く2度目の達成だったという。

 八重山商工の花城は直球にスライダーやカーブなどの変化球を駆使し、打たせて取る投球内容で記録をつくった。

 このほか、コールドゲームでの達成例もある。


 ▽3回戦

沖縄尚学
001000124|8
000000000|0
那覇

(沖)美里―前盛
(那)平安山、上原―安室
▽二塁打 長濱、知念新(以上沖)