正確ジャッジで夢舞台へ 東京五輪で陸上審判員 渡慶次早苗さん<五輪支える熱情>1


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五輪審判員への決意を語る渡慶次早苗さん。普段は県内競技会で会場アナウンスを務める=4日、沖縄市のタピック県総ひやごんスタジアム

 五輪の花形種目である陸上競技。20年以上にわたり、選手指導のほか、豊富な知識を生かして競技会の会場アナウンスを務めている渡慶次早苗さん(49)=開邦高教諭=は、沖縄からただ一人、東京五輪の陸上審判員として国立競技場に立つ。担当は跳躍種目。「世界のトップ選手が1センチ、1ミリの高さ、距離を競う。選手が他のことに気を取られない環境づくりが大事」と、アスリートが競技に集中できるよう、正確なジャッジを心掛ける。

 西表島出身。八重山高で走り高跳びを始めた。大阪体育大を出て教員になると各高で陸上を教え始めた。八重山農林高時代に八重山郡陸協の大会に関わった際に「人が少なくてなんでもやった」と、審判員など大会運営の裏方を幅広く学んだ。2017年に日本陸連が東京五輪に向け全国の陸協に審判員の推薦を求めた際、沖縄陸協は渡慶次さんを選定。比嘉律子専務理事は「安心して任せられる」と太鼓判を押す。

 研修や全国大会で着実に実地経験を積んできた。5月に本番と同じ国立競技場で行われたテストイベントに参加し、他県の審判員とも顔を合わせて「いよいよだな」と実感も湧いてきたという。本番では跳躍4種目のタイマー管理やファウル判定などを担う予定だ。

 普段から「選手が自己新を出したりして、喜んでるのを見ると『やってて良かった』と思う」と強くやりがいを感じる。それは、世界トップ級のアスリートが集う五輪の舞台でも変わらない。「国際ルールで違いはあるけど、基本は一緒」と自身の役割を見詰める。

 県内では審判員の担い手不足も感じる。「各陸協の方にどう増やしているかいつも聞いている」と言い、今回の交流の機会も沖縄の競技発展に還元する考えだ。
 (長嶺真輝)


 東京五輪に参加するのはアスリートだけではない。監督、コーチ、審判員、会場スタッフ。スポットライトの陰で情熱を燃やす沖縄関係者の思いを紹介する。