暴走再び増加「恐怖すら感じる」リゾートに週末100台 敷地侵入も


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爆音を響かせながら北上する二輪車の集団=5月20日午後11時ごろ、恩納村安富祖

 【恩納】「毎晩騒音に悩まされている。週末になると朝まで暴走していることもある」。恩納村安富祖に住む30代の女性はため息をつく。同村を走る国道58号は夜の人通りが少ないとはいえ、爆音を響かせながら制限速度をはるかに超える速度でバイクが走行し、住民は「恐怖すら感じる」と訴えた。

 風光明媚(ふうこうめいび)な自然とリゾートホテルを求めて恩納村を訪れる観光客は多いが、暴走行為は30年以上前から確認されている。村民だけでなく観光客にも迷惑を掛けており、観光立県の印象も悪くなっているとして、村は2006年と12年、16年に暴走行為追放村民総決起大会を開いた。暴走行為反対の横断幕を設置し、村青年団協議会が巡回するなどして、一時減少傾向にあったが、20年以降のコロナ禍の中で「平日の深夜まで暴走バイクが目立つようになった」(住民の女性)という。

 石川署や県警交通指導課が二輪車通行止めや巡回などで警戒に当たっている。村も05年に暴走行為をした者に5万円以下の罰金を科す村条例を施行して対策を講じたが、根絶には至っていない。

 安富祖区によると、バイクの暴走は金曜から週末にかけて悪化する。最近も週末の日中に100台近くが列をなして走ったり、警察に追われたバイクが国道沿いのアパート敷地内に逃げ込んだりしたことがある。

 松崎正也区長(38)は「バイクの音がうるさくて眠れないという区民の訴えは日常茶飯事だ。区民の家は国道沿いに多く、迷惑している。特に集団での走行はやめてほしい」と訴える。区は石川署などと相談して、暴走禁止を呼び掛ける看板の設置を検討している。
 (岩切美穂、松堂秀樹)