野添文彬沖国大准教授の話
海兵隊が取り組もうとしている遠征前方基地作戦(EABO)では、分散して離島など各地に拠点を設ける。そのため、航空機を使った補給が重要になる。特に大型で重量物を運ぶことができるCH53Eヘリによるつり下げ輸送を重視していると考えられる。
台湾情勢を念頭に、米軍はEABOに関する訓練を県内で活発化させている。もともとCH53Eは機体が老朽化している中、使用頻度が高くなっている。訓練激化で住民に不安を与えるようなことがあってはならない。渡名喜村の入砂島周囲には訓練空域と海域が広がっている。沖縄県内にある訓練空域・水域がいかに広いかが改めて分かる。こうした訓練区域を抱えているからこそ、米軍機が行き来し、活発に訓練を繰り返している。
台湾有事では、EABOなどで海兵隊が先島など離島に展開して中国軍を迎え撃つといわれる。緊張の高まりとともに今後ますます訓練の激化が予想される。
県は、住民を危険や不安にさらすような訓練をしないよう申し入れるとともに引き続き広大な訓練水域・空域の見直しも求めていくべきだ。 (国際政治学)