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「彼の努力や苦悩に目をそらさず、向き合ってほしい」。15日、コザ高校2年(当時)の運動部主将が自殺した事案を巡る陳情について審議した県議会文教厚生委員会の場で、遺族は言葉を詰まらせながら「利害関係のない第三者の丁寧な再調査」を何度も求めた。
保護者有志が事案の再調査を求める陳情を提出したことを受け、文教厚生委が15日、招致して聞き取りした。遺族も急きょ参加した。「なぜ亡くなる当日、彼の行動記録がないのか」。別の生徒に聞けば、すぐに分かるはず。遺族は第三者調査チームの報告書に疑問と不信感をぶつけ、息子の異変を証言した。
その日持たせた手作り弁当には、息子の大好物である唐揚げが入っていた。普段なら弁当箱は空になるが、その日は一口食べただけだった。
「掃除時間、息子が空を見ていたと、クラスの子たちが同じような発言をしていた。普段とは違う行動を目撃している」。文教厚生委が開かれた県議会棟の委員会室で、遺族は下を向いたまま声を震わせ、何度も言葉を詰まらせながら語った。
亡くなる前日の目撃情報にも触れた。息子が顧問から責(しっせき)され、離れた場所にいた別の生徒が普段と違う様子に気付けるくらいの大きな声だったという。しかし、調査報告には目撃した生徒らの証言がなく、遺族は強い不信感を訴えた。
亡くなってから四十九日を迎えた4日後、全国大会が始まった。「息子の名前が書かれた全国大会用のゼッケンだけが自宅に届いた」。用意した紙を持つ遺族の手は震えていた。
委員会を閉会する直前、遺族は顔を上げて、息子と一緒に部活動に励んだ仲間たちにも思いを寄せた。「一人一人が命の大切さを見極め、息子の分まで精いっぱい生きてほしい。投げ捨てる命は一つもないんだと伝えたい。人は生きる権利をしっかり持っている。社会もそういった認識を持ってほしい」。声を振り絞った後、涙をぬぐった。
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