「事実言えない生徒もいたはず」高2自殺で学校が記名式調査 県議会で遺族が初証言


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 部活動の顧問から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受け、1月にコザ高校2年(当時)の男子生徒が自ら命を絶った問題で、沖縄県議会文教厚生委員会は15日、再調査を求めて陳情を出した県立学校保護者有志を招致し、意見を聞いた。遺族も急きょ参加し、県議会に再調査を求めた。遺族が議会など公的な場で証言したのは初めて。遺族と保護者らの証言によると、学校が基本調査で実施した生徒へのアンケートが記名式だったことが明らかになった。保護者は「(記名式では)事実を言えない生徒もいたはずだ」と疑問を示した。

 県教委によると、アンケートは亡くなった男子生徒のクラスメート40人と、同じ部活の生徒16人、計56人を対象に実施した。文科省の「子供の自殺が起きたときの背景調査の指針」に沿って基本調査を進めたが、記名か無記名かの定めはなく、学校の判断で記名式となった。

 さらに、基本調査を受けて実施された第三者による調査(詳細調査)では、県教委が事前にリストアップした生徒10人と、管理者を含む教職員5人を中心に聞き取りされていたことも分かった。

 基本調査を受け、2月16日に第三者調査チームが発足し、3月5日までに報告書をまとめた。第三者調査チームが関係者に聞き取りした期間について、遺族は「実際には4日間で、1人わずか30分程度だった。こんなにも短い期間で調査できるのか」と陳述した。

 遺族らは、第三者調査チームの報告書に亡くなった生徒の死亡当日の行動記録が記されていないことも指摘した。亡くなる前日に、顧問が生徒を叱責(しっせき)する様子を別の生徒らが目撃していたにも関わらず、第三者調査チームの報告書が顧問からの聞き取りだけでまとめられていたことにも言及し、調査不足と訴えた。

 県教委県立学校教育課の屋宜宣安副参事は本紙取材に、学校が記名式アンケートをしたことについて「詳しい調査をしようとした結果だと思う。(亡くなった生徒の)当日の行動記録がないことについては、第三者調査チームから確認できなかったと聞いている。3年生が卒業を控え、時間がない中での調査だった。可能な限り、早く遺族に調査結果を伝えようと考えていた」と説明した。

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