「田園風景取り戻したい」 島を支えた稲作を再び 遊休地耕し活性化


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 【渡嘉敷】沖縄県渡嘉敷村で7月初旬ごろから1期作米の収穫が始まった。現在、村内の稲作農家は3世帯のみで、自給用として栽培している。農家の新垣重光さん(84)は「長雨のため昨年より収穫も遅れているが、出来具合はまあまあだ」と目を細めた。

コンバインでの収穫作業に精を出す下地敏之さん=12日、渡嘉敷村内の田んぼ

 村では20年前までは40戸余りの生産農家がおり、田んぼ作付面積は約6ヘクタール、1、2期作合わせて自給用、販売用を年間約40トン余り生産するほど米作りが盛んだった。しかし高齢化や後継者不足などで農家も減少。畑は雑草が生えるなど荒廃地化している。

 現在、渡嘉敷出身の知念優さん(64)、新垣重光さん(84)、本土から移住した坂田竜二さん(51)の3世帯が約4千平方メートル(約1200坪)で米作りを行っている。

 島内農家が減少する中、1年ほど前から「島で農業をしてみたい」と、島外で働いていた新垣さんの娘婿の下地敏之さん(61)が島に戻り、稲作を継ぐことを決意。遊休地となっている田畑を借り受け「島の農業を活性化させたい」と意気込んでいる。村では農業の後継者問題が課題となっていたが下地さんらに期待を寄せている。

 新垣さんは「昔から稲作が島の生活を支えた。雑草地帯となった田んぼを復活させ、若者たちへ稲作の魅力を伝えていきたい」と話した。下地さんは「米作りは大変だが、作る喜びがある。島に田園地帯が広がる風景を取り戻したい」と意気込んでいる。

 (米田英明通信員)