「シュート止める」守護神としての気概 東京五輪・水球日本代表GK・棚村克行


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水球男子の日本代表候補の合宿で、ゴールを守るGK棚村(左)=3月、盛岡市

 東京五輪でメダル獲得を狙う水球男子日本代表「ポセイドンジャパン」のゴールキーパー(GK)で、母親が石垣市出身の棚村克行(31)=筑波大出、ブルボンウォータークラブ柏崎=が18日、オンラインで琉球新報のインタビューに応じた。初戦となる予選の米国戦まであと1週間。「強い選手と試合できるのが楽しみ。それが一番大きい」と、リラックスした表情で力強く語った。

 日本男子が32年ぶりに出場したリオ五輪に続き、2大会連続での代表選出。本番が迫り、メールやSNSで知り合いやファンから応援の連絡も増えてきたという。母国開催で「開催自体に賛否両論あるけど、注目度はこれまで以上に高い。より責任を感じる」と気を引き締める。

 コロナ禍で移動は制限されているが、練習は通常通りにこなし、コンディションは良好だ。代表チームは1年半にわたり国際試合から離れていたが、6~7月にジョージアで行われたワールドリーグで大柄な海外勢と戦う感覚を取り戻してきているという。

棚村 克行

 小柄な日本は、相手選手の間に入って積極的にパスカットを狙う「パスラインディフェンス」を武器に躍進を目指す。GKの前のスペースが空きやすいリスクもはらむ戦術だが、棚村は「自分はまだ成長段階。去年よりも、この前の大会よりも今の方がいい。自分の役割はシュートを止めることに尽きる」と守護神としての気概をのぞかせる。

 予選は5試合。米国やギリシャ、イタリア戦では接戦が見込まれる。チームの目標はメダル獲得だが「まずは予選が大事になる。一つ一つ勝っていく」と足元を見詰める。

 東京出身だが、小学生の頃まで夏休みは毎年石垣島で過ごし、今も母方の親戚とは親交がある。ワールドリーグから今月3日に帰国し、その後の隔離生活中には島からパイナップルが届いたという。「今も常に連絡を取り合い、とても応援してくれる」とうれしそうに話す。「石垣の親戚や知り合いに喜んでもらいたい」と奮い立ち、本番に臨む。