第32軍壕、未発掘区間の調査優先を 委員から異論相次ぐ


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 沖縄県は20日、学術と技術分野の有識者でつくる第32軍司令部壕保存・公開検討委員会の第3回会合を那覇市の自治研修所で開いた。県が本年度、発掘済み区間の基礎調査から始めるスケジュール案を示したのに対し、委員からは未発掘区間の詳細調査を前倒しする必要性が出されたほか、目標達成までの行程(ロードマップ)が示されないことに不満の声も相次いだ。

 32軍壕を巡っては、1945年に米軍が壕に入って調査し、県や那覇市などは60年代と90年代に試掘調査を行ったが落盤で断念した。県の90年代の調査では、中枢部まで約6メートル手前で断念し、第1坑道には達せず、第1、4坑口の位置も未確定のままだ。

 県は20日の検討委で、発掘済みの第2、3坑道や第5坑道を調べ、図面を作成する基礎調査を本年度に実施し、次年度に未発掘区間を含めて地上からレーダーなどを使って地盤を調べる詳細調査を実施するスケジュール案を示した。

 県の案に対し、情報技術の永井義人氏は「未発掘の所を知るための優先順位が設定されていない」と指摘。沖縄戦研究の吉浜忍氏は中枢部や第1坑口、第4坑口の調査、深さや長さなど全体像の把握を急ぐべきだと求めた。目標達成までの行程も示してほしいと要望した。地盤工学の伊東孝氏は「未発掘地域の把握を第一優先に、いくつかの探査を組み合わせれば第1坑道の空洞が残っているか、感触くらいつかめれば公開に向けて議論が深まるのでは」と提案した。