「やっと外に出られる」台風6号 宮古島、石垣の暴風警報を解除 生活物資の不足続く


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 【宮古島・石垣】台風6号は4日間にわたり、先島地方に強い風雨をもたらした。気象庁は24日、先島地方に発表していた暴風警報を相次いで解除した。宮古島市は79時間、石垣市で61時間続いた避難指示は解除され、住民に安堵(あんど)感が広がった。倒壊した木や道路標識の撤去作業も始まった。一方、海空の貨物便再開は不透明な状況で、生活物資不足は続いている。

強風で損壊した道路標識を撤去する作業員ら=24日午後4時20分、宮古島市平良

 宮古島市では午前中から自宅前などで散乱した枝や葉を清掃する住民の姿が増えた。午後にはスーパーやガソリンスタンドも営業を始め、生活物資を求める客の車が駐車場を埋めた。

 サトウキビ畑では強風で折れたキビが目立つなど農業への影響も出ている。市平良でトマトを栽培する宮平浩幸さん(32)はハウスが強風で倒壊しないようビニールを外し、全てのトマトを廃棄した。「収穫間近のもあったが、ハウスを守るためにしょうがない。また土から作っていく」と話した。

 宮古島市の四つの島を結ぶ伊良部大橋、池間大橋、来間大橋の通行止めも24日に解除された。市伊良部の普天間一子さん(61)は「今回の台風は長かった。やっと出られるね」と開放感をにじませた。自宅は22日午前から丸二日以上停電した。「テレビもスマホも使えなくて、台風の情報がすぐに分からなくて不安だった」と話した。

台風で閉鎖していたが、再開した新石垣空港のターミナル=24日午前、石垣市の新石垣空港

 閉鎖していた石垣市の新石垣空港は24日午前、開館した。一部の便が運行を再開したが欠航する便もあり、ダイヤが乱れた。旅行者たちは疲れた様子で今後の旅程に頭を悩ませていた。

 観光で石垣に来た神奈川県の福田裕美子さん(49)夫婦は、帰りの飛行機、振り替え便がともに欠航となり、別便に乗り換えるか延泊するか考え込んでいた。福田さんは「25日に仕事があるので、できれば24日中に戻りたい」と不安そうに話した。

 石垣市内のスーパーでは葉野菜など一部の商品が品薄となった。夕飯の買い物に来ていた女性(68)は「夫と2人暮らしなので冷蔵庫の残り物で食事はまかなえるが、家族が多い家庭は大変だろう」と心配そうに話していた。

 竹富町は24日、町公式ラインで、台風の影響で25日に実施予定だった西表島での新型コロナウイルスワクチンの集団接種を31日に延期すると発表した。