「よく頑張ってくれた」。豊見城高校時代に糸数陽一選手を指導した恩師で、県ウエイトリフティング協会顧問の大湾朝民さん(75)は、糸満市内の自宅で観戦した。自宅には週に一度、大湾さんから指導を受けるウエイトリフティング部所属の高校生3人も駆け付けた。大湾さんは「コロナがなければ東京へ行って観戦したかったが、仕方ない」と惜しみながらも、テレビで糸数選手を見守った。
糸数選手がジャーク159キロを成功させると、大湾さんは勢いよく「よし」と声を上げ「次でメダルを取る」と期待した。しかし糸数さんは162キロで失敗。4位入賞が決まると「悔しい」と声を出しながら「しっかりよくやってくれたと思う。ご苦労さま」と糸数選手をねぎらった。さらに「これで終わらずに、3年後(のパリ五輪)も目指してほしい」とエールを送った。
観戦した高校生も悔しい表情を見せながら、糸数選手の功績をたたえた。豊見城高校2年の佐久川優さん(16)はキャプテンを務める。「世界に挑戦する糸数先輩は誇り高い人。自分も先輩のようになりたい」と目標を掲げた。
沖縄水産高校2年の並里高仙(なみざとたかのり)さん(16)は糸数選手と同じ久高島の出身。リオ五輪後に開かれた島の激励会で糸数選手を見て、強い憧れを抱いた。「陽一にぃにぃは島の誇り。自分も世界と戦える選手になって島を盛り上げたい」と目を輝かせた。
糸満高校3年の永山盛耀(もりあき)さん(17)は8月の全国高校総体で67キロ級に出場する。「陽一さんのように一本一本集中して結果を残したい」と気を引き締めた。